NASDAQ市場で取引されている、マジックザギャザリングの親会社である「Hasbro(ハズブロ)」 (NASDAQ: HAS ) の株価が、Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)のアナリストが「買い⇒強い売り」に格下げをしたことで、下落したことがニュースになっています。
このニュースから個人的に思うことを書いていきたいと思います。
Bank of Americaの言い分は以下の通りです
「私たちは何人かのプレイヤー、コレクター、ディストリビューター、地元のゲーム店と話し、不満が高まっていることに気づきました。主な懸念は、ハズブロがマジックカードを過剰生産しており、ハズブロの最近の結果を支えているが、ブランドの長期的な価値を破壊していることです。
パンデミック後もこのビジネスの高い成長を維持するために、Hasbro はより頻繁にセットをリリースし、各セットの製品数を増やし、流通を拡大しました。
しかし、この戦略家は裏目に出た可能性が高い、とハースは警告します。
「プレイヤーは追いつくことができず、古いカードを使用できる「コマンダー」フォーマットにますます切り替えています。
供給の増加により、流通市場の価格が暴落し、ディストリビューター、コレクター、地元のゲームストアはマジックでお金を失いました。
その結果、将来のリリースでは製品の注文が少なくなると予想されます」とアナリストは付け加えました。
ここまで書かれていることは的を得ているとは思いますが、この後に書かれていることについては疑問が残ります。
さらにアナリストは、
マジック 30 周年記念セット(30th Anniversary Edition)の価格が 1箱(4パック入り) 999 ドルに設定されていることは「過度に高い」と述べています。
これにより、
コレクターの間でパニックを引き起こす。
マジックの希少価値が疑問視されている。
コレクションが売られるのを見ている。
とのことです。
更に、バンク・オブ・アメリカのアナリストは、
「マジック:ザ・ギャザリングは熱心なファンを抱えていますが、カードの過剰生産が続けばカードの価値低下によりプレイヤーやコレクターがポケモンカードゲームや遊戯王OCG デュエルモンスターズなどの他のトレーディングカードゲームに流れてしまう可能性があります」
「最終的に熱心なファンの喪失につながり、古い製品をより多く販売するためには、今後印刷部数を削減する必要があります」
そもそもマジックザギャザリングの収益自体は増加しています
マジックザギャザリングの販売セット数をグラフに表したものです。
2020年のCovid-19語である2020年以降、セット数が増加しています。
再販市場においては古いカードが高騰しています。
また、日本でのスタンダードプレイヤー人口が体感的に最も多かったと感じる「2000年~2004年頃」が商品数としては最底辺を記録していたということが興味深いですね
グラフの見方については、
BOX SET⇒各種BOXの収益(スタンダード~エターナルまでを含む)
Compilation Set ⇒ Secret Lair
Core Set ⇒ 基本セット(2020年を最後に生産終了)
Digital Set ⇒ MTGアリーナ、Magic Online
Expantion Set ⇒ 拡張セット
Special Edition ⇒ Mithyic Editionなどの特殊セット
Starter Set ⇒ 過去発売していたスターターセット
Supplemental Set⇒ おそらく統率者デッキなど
Un set⇒Unfinityなど
拡張セットとBOXセットは基本的に同じとみていい気もします。
表現の違いだけで中身は同じだと推察します(古いデータから)
BOX数はかなり増えているのが現状です。
30th Anniversary Editionは再録禁止ポリシーを否定したわけではない
今回の下落要因について、やり玉に挙げられているのが『30th Anniversary Edition』
現代のルール上再録することのできないカードを除いた、LEB(Limited β)に収録されたカードが発売されます。
アナリストは、
2022年11月28日(金)から発売される「30th Anniversary Edition」のセットについて批判しています。
「マジック:ザ・ギャザリングのカードを刷りすぎて価値が暴落する」と巨大銀行がオモチャ会社に警告 – ライブドアニュース (livedoor.com)
999ドルのこのセットには、通常1パック約5ドルのカードパックが4パック含まれているそう。しかし、このパックには「Black Lotus」のような非常に人気で価値のあるカードが含まれています。
このセットの問題は、価格の高さだけでなくハズブロが再販しないと公言していたはずのカードが含まれているという点にもあります。
とのことですが、これは正直、的を大きく外しているように思います。
確かに以下のようなカードは収録されます。
ただしこれは再録ではありません。
このセットはあくまでコレクターアイテムであり、裏面は違い、公式イベントで使用できるカードではありません
パッケージの側面に描かれている、「Black Lotus」のデザインがカードの裏面となるため、トーナメントシーンで使うことはできません。
そのため、このカードがコレクターアイテムとしての価値を壊すという考え方は大きく違っていると思います。
過去にもCollecter’s Editionなどが発売されましたが、これ自身には一定の価値はありますが、それが現在の市場価値に大きく影響を及ぼしたことはありませんし、「競技として使うことができないカード」に何百万円も払う価値はありません。
「30th Anniversary Edition」自体は、
古いカードを剥いてみたいという欲望
新しいコレクションアイテム
としての両方の側面をとらえた的を得たアイテムであり、別市場として流通形成をするものだと思います。
999$は確かに高いですが、否定すべきアイテムではないと思います。
個人的に一番怖いのは、EDHは公式サポートフォーマットじゃないから今回のセットのカード使っていいよ!!とか言い出しそうなことなんですけどね
スタンダードを楽しむ人口が減っているのは感じる
自身がエターナルプレイヤーであることから、なかなかスタンダード環境を紙でプレイすることは減ってきています。(ゼロではないしデッキも持っているが)
いざエターナルに踏み込んだ人がそこからスタンダードに戻ることはなかなか無いとも感じています。
マジックを楽しむプレイヤーは増えている、ただし?
現状としてスタンダードの人口は少なくなっています。
それはあながち間違いでもなく、これについては多くの人が言う通りであると思います。
なぜスタンダードの人口が少ないのか?
カードローテーションについていけない
同じくスタンダードローテーションのある、ポケモンカードはスタンダードが最も人気のある環境ではあります。
MTGに比べてまだ新規参入が多くスタンダードの敷居が低い
低レアリティの同名カードでお金をかけずに遊べる(コレクターカードとプレイアブルカードの区別)
ローテーションが3年サイクルで長く使える
ことから、スタンダードが長く楽しまれているのではないかと思います。
マジックザギャザリングの構造的に、同名カードで安いカードを作るのは厳しいとも思います。
現実的にスタンダードのローテーションをポケモンに倣って3年にすれば、スタンダードももう少しやりやすくなるのではないかと思います。
昔のマジックザギャザリングは当時の「マスティコア」「変異種」「ウルザの怒り」など3000円を超えたカードでしたが、みんながスタンダードだったため、スタンダードが最も人口が多くなりました。
長い歴史の上、古いカードが使える環境に人が育ってきたことから所謂下環境が人気が出てきた部分もあるのではないかとも思います。
資産が紙くずになる可能性がある
スタンダードの環境としては強くても下環境に降りたら使われない
禁止改訂で使えなくなる
これらはやはりスタンダードからのプレイヤー離れを引き起こす原因となり得ます。
スタンダード人口を増やしたいのであれば、もっと積極的に施策を行うべき
団結のドミナリアの「放浪皇」PWCSは相当な人気となっています。
また、マジックリーグも「百合子配布」で大勢の人がプレイするようになりました。
マジックザギャザリングは既に成熟している元祖TCGであることから、それに甘えず、プレイヤーを呼び込む施策を行えば、自然とスタンダードに人も集まってくるのではないかと思います。
正直ポケモンカードがそういうのうまいですよね。
なぜエターナル環境に人がいくのか?
やはりエターナル環境は「買ったカードが資産になる」
これが最も強い環境だからだと思います。
トレカの市場価値があがり、エターナルの再録禁止は軒並み5桁超え、「Black Lotus」は300万円買取~などという状況になっています。
実際マスターズやモダンホライゾンなど人気です
エターナル環境のカードが多く収録される、マスターズシリーズ、モダンホライゾンなどはスタンダードのBOXに比べて売れている印象があります。
ローテーションがなく、買ったカードをそのまま資産として遊び続けられるのはやはり強いということがはっきりと表れています。
EDHの敷居の低さ
レベル帯には分かれますが、
・デッキを組むために強いカードは1枚ずつでいい
・まったり勝敗を気にすることなく楽しめる
・エターナル環境
という意味でもEDHに人気が集まるのはわかります。
今回のニュースでマジックザギャザリングの価値が暴落するわけではない
仮にハズブロがWotC(MTG)を手放したとしても?
再録禁止カードについては、すでにカードとしての価値に加えて、「美術品・骨董品」としての価値が認められていると思います。
そのため、今回のようなニュースでカードの価値が下がることはないと思いますし、もし仮にこのようなニュースで下がるのであれば再録禁止カードの有名どころは「買い時」だと思っています。
WotCとしてハズブロから独立すべき?
可能であればこれが一番いいと思います。
ただ現実的にハズブロは収益の3割以上を占めるMTG事業を手放したいとは思っていないでしょうし、この事業を手放すことでハズブロが傾くということのほうが可能性は高いのではないかと思います。
なぜこんなマイナスニュースを流したのか?
勝手な見解ですが、新しい投資先として、銀行がTCG市場に目を付けたということも充分に考えられます。
絵画より手軽、市場流通性が高い、資産価値が高い、換金性も高く今後成長産業として望めるとあれば目をつけてもおかしくはありません。
マイナスニュースを流して安くなれば、そこで買って上がるのを待てばいいだけですからね。
ハズブロの収益はどうにせよ。マジックザギャザリングとしての収益は上り調子ですし、トレカ産業全体も拡大しているので、投資目的として銀行が買うためにこのようなニュースを出したと考えてもおかしくないと思っています。
今回のニュースを受けてハズブロは考えるべきだと思います
近年カードの印刷の質も下がっています。
コレクターブースター??という感覚もあります。
禁止改訂が雑すぎます。
他のトレカの戦略の良いところは積極的に取り入れるべきだと思います。
ここ最近の戦略でよかったのは放浪皇と百合子くらい(日本限定)
新規をもっと増やす背策を行うべきです
売り上げが伸びてるからってあぐらをかいているときではないとは思っています。
どうすれば最も売りたいであろうスタンダードのセットが売れるのか?
いや、本当はもうスタンダードなんてやりたくないのかもしれませんが。
会社として利益を出していくためにはスタンダードを売り続けていくしかないので。
世界的にみればマジックザギャザリングのBOXの価格は決して高いわけではありません。
日本のパックが安すぎるのです(日本のガラパゴス化)
海外のポケモンカード | 36パック10枚入り | 約18000円 |
日本のポケモンカード | 30パック5枚入り | 約5000円 |
マジックザギャザリング ドラフトブースター | 36パック15枚入り レアカード以上確定 | 約17000円 |
世界のブースターパックの水準からみれば、マジックザギャザリングのパックは割安ともいえます。
日本人が高いと感じるのはポケモンカードや遊戯王OCGに慣らされすぎているからにほかなりません。
かといって日本向けに5枚パックなんて作るわけにもいかないでしょうし難しいところではありますね。
売り方ではなく戦略で攻めていくしかないのだと思います。
・昔のように漫画タイアップ(大手雑誌)で行う
・放浪皇のようなプロモキャンペーンを積極的に行う
・神河のときのような大々的なプロモを行う
などしていく必要があるのではないかと思っています。
若い年齢層のプレイヤーを増やす必要があると思いますし、正直遊戯王よりもMTGのほうが簡単だと思いますよ
まぁ色々書きましたが結局私はMTGが好きなんで、何と言われようともやるんですけどね。
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