令和のポケモンカードブームは、世間的に考えると2020年末の「ハイクラスパック・シャイニースターV」あたりからだと考えています。
最初の頃はシールドマリィよりもシャイニーマリィのほうが高いという逆転現象も発生し、なかなかカオスな状況であったことも記憶に懐かしいですね。
勿論、「イーブイヒーローズや蒼空ストリームから」と感じる人がいたり、それ以前であったりと感じる人もいると思いますが、一般的に考えるとシャイニースターV以降、じわじわとポケモンカードが買えなくなっていったと考えるのが普通ではないかと思います。
シャイニースターVを買いに行ったらまだ仰天のボルテッカーや伝説の鼓動が売っていました。
一撃マスター、連撃マスターは普通にAmazonで買えました。
イーブイヒーローズまではポケセンのお届け便がありました。
ただ、この頃も転売は一部商品で始まっていました。
ただ、このブーム開始からもうじき3年を迎えます。
3年というサイクルは節目でもあるということを考えて、これからのポケモンカードについて少し考えていきたいと思います。
過去の歴史から「トレカブームのサイクルは3年」
マジック:ザ・ギャザリングとポケモンカードはシステム的に非常に類似性が高いカードゲームです。
参考で表にまとめてみました。
1993年にマジック:ザ・ギャザリングが発売し、日本でポケモンカードは1996年に発売となっています。
ここでの差も3年ですね。
※参考:ポケカとMTGの類似点
システム内容 | ポケカ | MTG | 詳細 |
---|---|---|---|
あなたは? | ポケモントレーナー | 魔法使い | 闘うのは自分でなくポケモンやクリーチャー |
コスト要素 | エネルギー | 土地 | 1ターン1枚 基本と特殊あり 破壊要素あり 回収要素あり 事故あり 加速要素あり |
手札など | 手札7枚 デッキ60枚 | 手札7枚 デッキ60枚 | MTGはサイドボードあり マリガン要素は双方にあり |
立ち位置 | 日本最初のトレカ | 世界最初のトレカ | 今の日本一がポケカ 今の世界一がMTG |
レギュレーション分け | スタンダード エクストラ 殿堂 | スタンダード パイオニア モダン レガシー ヴィンテージ | 再録中心でない 狭いカードプールがある 古いカードも活躍できる |
スタンダード ローテーション | 3年 | 3年(2023年から) | ローテーション制度あり |
レーティング制度 | チャンピオンシップポイント | 過去DCIレーティング制度(今は廃止) | 成績によって世界へ |
トレカのブームサイクルは3年という考え方
マジック:ザ・ギャザリングが世間に大きく認知され、ブームとなり始めたのは、1997年頃、時代とすればウルザブロック(ウルザスサーガ・レガシー・ディスティニー)から、インベイジョンブロック(インベイジョン・プレーンシフト・アポカリプス)の頃です。
この頃のMTGは、
公民館や集会場で開かれるようなローカル大会でも参加者が64人以上
スタンダード一辺倒
年齢層は小中学生~大人まで
レシピ通りのデッキではなく、オリジナルデッキ多数
と、今のポケモンカードに近い状況がありました。
ウルザブロックから盛り上がりを見せ、多色のインベイジョンで最高潮に達しましたが、やはり3年というサイクルで落ち着きを見せ、多くの人がプレイヤーとしての環境からいなくなったことが挙げられます。
なぜ3年サイクルで動くのか?
3年というサイクルはトレカに関わらず、日本では昔から、『三』に関わる出来事は意識されています。
※『三』に関わることわざ一例
「石の上にも三年」
「商い三年」
「仏の顔も三度まで」
「三度目の正直」
生活においてであれば、
3年経てば、学生なら進学する。
3年経てば、職場も変わる。
3年経てば、トレカも手持ち資産が全てローテーションする。
メーカー側もいくらブームで足りなくなっても3年もたてば生産体制も整い、普通に流通するようになってきます。まさに「黒炎の支配者」「レイジングサーフ」が大量に売られているのはこれがあるからだと思います。
3年の期間を経て成長期から成熟期に移行しつつあるポケカ市場
バブルのような異常な釣り上げを経て、シングルカードの価格は落ち着き、BOXの生産量が増えたことで買いやすくもなり、構築済みデッキやデッキシールド(スリーブ)などは余るようになってきました。
また、店舗で見ると2023年10月上旬現在、この辺りのパックは普通に買えるようになってきた点も挙げられます。
一番ひどかったときは「ポケカ」とつけば全て完売していましたので、そういう意味では落ち着いてきたということでしょうか。
シングルカードについてもまだまだ高いものは高いですが、だいぶまともな価格に戻ってきているものもありますし、まだまだ下がりそうな気配も感じられます。
成熟期へ移行するとなるとどのような現象が起きるのか?
2020年後期からのポケモンカードは「トレーディングカードゲームとしての面白さ」よりも「お金・高騰」ばかりが目につきました。
2023年10月でもまだその目線のほうが明らかに強いですね。
「ポケモンカードゲームって買えないよね、高いらしいよね。」
ということはみんな知っていても、
「実は世界大会があって優勝賞金が250万円も出るんだよ」
「英語のカードは日本では使えないんだって」
「大会って色々なところでやっているんだよ」
ということを買っていた人のどれだけの人が知っていたかと思うと実際のところは半分以上は知らなかったのではないかと思います。
それだけ『カードゲームとしての面白さ<<お金』として見られていたと思います。
現状のポケモンカードとすれば、
転売抑止対策
流通量の増加
バブルの崩壊
などの要素が相まって、釣り上げの資金は体感的には抜けてきており、以前ほど利益は出なくなってきたことから、少しずつ「お金よりもカードゲームとしての面白さ」にシフトしてきているように思います。
必要なカードがあがり、転売の玩具となっていたカードは値段が下がります。
そのうえで残ったプレイヤーとコレクターが中心となった価値の形成と市場の成熟になっていくと思います。
勿論まだ、「お金」としての要素は強いですし、トレーディングカードゲームに資産価値がある以上その要素が完全になくなってしまうことはありませんし、市場として成立するために必要なものではありますが、ある意味プレイヤーやコレクターに寄り添った形の価格となりつつあるのではないかと思います。
つまりは、カードの価格が正常化するということです。
希少性(流通量)と必要性(需要)
これに釣り合った価格になってくると思われますし、既にその傾向となりつつあります。
たとえ希少価値が高くても、需要がないカードは当たり前ですが安くなります。
現状の女の子SRがそのような状況ですね。
あれほど話題となった『チリちゃん』昔のSRの価格です。
生産量が多くても需要が高いカードは高くなります。
ある意味『バトルVIPパスやウッウロボ』はその代表格でした。
今は高いカードでも何千枚も、下手したら1万枚かそれ以上存在しているカードに数十万円という価値は見出せませんし、それはほかのトレカの歴史をたどっても明らかです。
なぜBlack Lotusに値段がついているのか
単に希少性だけでなく、ヴィンテージという最高峰のプレイ環境があり、必要性があること。
コレクター需要だけでなく、使われる必要性もあるから高いカードなのです。
価格とすれば2023年10月現在で『がんばリーリエPSA10≒Black Lotus』です。
正直にこれは異常なことです。
希少性・流通量、世界的な需要全てにBlack Lotusに軍配が上がります。
異常なまでの価格の乱高下(1日で100万円単位)を見ていても、まだまだ「転売の玩具」ではありますし、完全に成熟期になっているとは言い難いですが、少しずつ近づいてはいるでしょうね。
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今後のポケモンカードの展望について
ポケモンカードとMTGの歴史は3年しか違いがありませんが、ブームになるまでの期間に差があり、その結果、流れとしてはおそらくMTGがこれまでにたどった流れをポケモンカードが踏襲していく形になると考えることが出来ます。
環境の変化
現状のポケモンカードは、所謂下環境ではなく「スタンダード」が最も人気のあるフォーマットです。
競技環境が強いといえる部分でもあります。
エクストラや殿堂では大会もあまり行われていませんし、デッキを持っている人も少ないですね。
理由として、それだけ古いカードを持っている人がいない(昔からずっとやっている人が少ない)ということも言えると思います。
ここ数年の新しい参加者が多ければ多いほど、新しいカードが飛ぶように売れます。
この環境自体はまだ数年は続くと思いますが、少しずつここに変化が加わっていくと思います。
プレイヤーが増えるということは今後も継続していく人も比例して増えていきます。
スタンダードという環境は、確かに新規参入勢にとってみればありがたい環境ではありますが、必ずしも長くやっている人にとってはそうではなく、
せっかく昔からやっているのに古いカードが使えなくなって紙束になるというジレンマ
に必ずぶち当たります。
ちょうどこれで2025年1月にEレギュレーションがスタンダードローテーションから外れます。
Eレギュレーションといえば、バトルVIPパスとミュウなどの一大環境を作ったレギュレーションであり、今のポケモンカードを一生懸命やっている人たちが頑張ってカードを買っていた環境でもあります。
そのことに慣れている人はいいのですが、これまでのカードが使えなくなること、一気に価値が下がることについて耐えられずやめてしまう人も多いのがスタンダードという環境です。
逆に運営側もこれに対して必ずてこ入れをしてくるようになるはずですし、それに耐えられずにエクストラレギュレーション、殿堂に手を出していく人が増えていきます。
年齢を重ねてお財布に余裕ができてくるからこその減少でもあります。
同じ流れをマジック:ザ・ギャザリングが過去に経験しています。
スタンダードこそ至高であったものが、今では競技環境であれば広くカードが使えるパイオニアやモダン
カジュアルに楽しめるEDH、ほとんどのカードが使えるレガシーなど、広いカードプールのほうが好まれています。
おそらく今のポケモンカードはスタンダードが特に人気があっても緩やかに、少しずつではありますが、下環境の人気が強くなり、スタンダードにとってかわられる日が来ると思います。
また運営側も今の「スタンダード・エクストラ・殿堂」だけでなく、新しいレギュレーションを作ってくるのではないかと思います。
個人的な予想ではありますが、
・数年来のうちにDレギュレーション以降のカードが全て使えるようなローテーションのないレギュレーションを発表する。
・併せて新レギュレーション用の特殊ボックスを生産する
・競技レギュレーションをスタンダードと新レギュレーションと指定する
くらいのことは(株)ポケはやるのではないかと思っています。
このままの体制を維持していては緩やかにですがプレイ人口は減少してしまうと思いますし、紙の資産価値の保全と運営の意志が合致するのがその部分ではないかと思います。
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シングルカードの価格の二極化
これまでのポケモンカードは、「女の子SRであれば高い」「ピカチュウやリザードンなど人気のカードは高い」という至極単純な傾向でしたが、今後はこれは当てはまらなくなるでしょうし、既にその傾向は出てきています。
釣り上げられたものはほぼ値段を戻しました。
まだ高くて下がる余地があります。
純粋に希少性が高くて人気のものが高騰する。
ようになってくると思います。
大量に生産されているような今のカードはあまり価値はないでしょう。
女の子SRの需要は日本だけです。限界があります。
下環境に人が動くと関連するカードはあがります。
と個人的には思っています。
表記はもちろん違いますが、ポケモンカードと遊戯王の高額レアの扱い方は似ている部分があります。
相場が下がっている遊戯王でも高いカードはそれなりにそれなりの理由が付けられますし、2023年10月時点の遊戯王OCGでは釣り上げをするような状況にはありません。
今後ポケモンカードで高騰する可能性があるカードは釣り上げられたカードではなく、ある意味明確に高い理由が付けられるカードになっていくのではないかと思います。
正直2022年以降のカードは、生産量が多すぎて高すぎるよなって思ってますよ。
レアリティの基準が違いますし、同名の安いカードを同じ箱で刷らないのがMTGですが、高い理由ははっきりしていますよ。
古い・強い・使われている・欲しい人が多い ただそれだけです。
トレカ産業自体について
ここ数年トレカ産業は成長著しい産業です。
コロナ禍で最も成長した産業の一つであるともいえますしまだまだ成長の余地はあると思っています。
コロナ禍もちょうど3年ですね。
やはり節目のタイミングになってくるのだと思います。
少なくとも2024年は、2023年のようには話は進まないでしょうし、ポケモンカード一辺倒ということはなくなっていくのではないかと思います。
ポケモンカードに触れたことにより他のカードゲームに興味を持った人がいることも事実でしょうし、3年というサイクル的には、離れる人多くなるタイミングだと思います。
過剰な価格高騰や店舗の急増などの明らかなバブル状態が崩壊したことも事実ですし、ここからは本当に需要があるもの、そしてポケモンカードに倣って他のカードゲームもかなりの力を入れてくると思います。
個人的にはこれからはポケモンカードの高騰や転売はひと段落。
トレカ全体としても人気に陰りは見えないものの、ここ数年のような荒れた動きではなく落ち着いた流れになっていくと思っています。
また、ポケモンカードからトレカを始めた層が他のカードゲームにも興味を持って触れてくれれば、更に全体としてもりあがっていくのではとも思っていますよ!!
今後の流れは楽しみですね。
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